天童荒太さん「君たちが生き延びるために 高校生との22の対話」刊行  2022年12月

2022年12月16日 16時55分

天童荒太さんは、直木賞作家で、松山北高校の卒業生です。

2年前には、北高生にメッセージを送ってくださり、その内容は生徒手帳に記載しています。

また、昨年の創立120周年記念行事では、在校生の質問に映像で答えてくださいました。

それらの内容が、ぎゅっと詰まった本が12月10日に発売されたのです。

   「君たちが生き延びるために  高校生との22の対話 」

                     天童荒太 (ちくまプリマー新書)

2.3年生の人たちは、映像を見ただけでなく、事前に質問を考えたり映像を撮ったりしましたので、その時の記憶がよみがえることでしょう。また、1年生は、新鮮な気持ちで本を手にとって欲しいと思います。

天童さんの想いがこもった、素敵な本になっています。

今回、学校にサイン入りの本を寄贈していただきました。図書館にありますので、ぜひ借りに来てください。

     

天童荒太さん「包帯クラブ ルック・アット・ミー」刊行  2022年3月

2022年3月1日 16時45分

120周年記念講演会の中で天童さんがお話しされていた、最新作「包帯クラブ ルック・アット・ミー」が3月10日に発行されました。そして、ちょうどその日に合わせて天童荒太さんから本が送られてきました。

本にはサインがあり、松山北高のみなさんへのメッセージが書かれています。

講演会での「『ルック・アット・ミー』と言っていいんだよ」、という優しい言葉に救われた人も多かったと思います。

前作「包帯クラブ」が発表されたのが16年前。ちょうど今の皆さんが生まれた頃の作品です。

ぜひ、両方の本を読んでみてください。

天童さんはいつも松山北高校のことを気に掛けてくださっています。

 

              

天童荒太さんからの天賀状  2022年1月

2022年1月1日 16時40分

天童荒太さんから年賀状をいただきました。

創立120周年記念講演会に対する生徒の皆さんの感想を、何度も読んでいただいたということです。

 

  

天童荒太さんの絵本 2021年9月16日

2021年9月16日 16時30分

天童荒太さんの講演はいかがでしたか。

心に残る言葉がいくつもあったのではないでしょうか。

お話の中にあった、絵本『どーした どーした』の英語版『WHAT WHAT WHAT?』を、天童さんが送ってくださいました。

英語版である『WHAT WHAT WHAT?』は国際連合のSDG Book Club※の2019年ブックリストに選ばれました。Goal3「Good Health and Well-being(全ての人に健康と福祉を:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)」部門です。

日本語版と一緒に図書館に置いていますので、講演会の事を思い出しながら手に取ってみてください。  

 

※国際連合のSDG Book Clubは6歳から12歳の子どもたちに国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)について学んでもらい、行動を促すことを目的として、毎月ブックリストを発表している。

 

                                          図書館より

         

創立120周年記念式 2021年9月16日(木)

2021年9月16日 16時15分

本日、関谷同窓会会長様、重見PTA会長様にご来校いただき、創立120周年記念式を行いました。3年生は体育館、1、2年生は各クラスでリモート視聴で参加しました。

コロナ禍の影響で1年延期の開催となり、記念講演も当初予定されていたものからの変更を余儀なくされました。

本校生徒各クラス2名から、27の質問を本校卒業生の天童荒太様に答えていただく形式の動画を、全校生徒が各クラスで視聴しました。今を生き抜くためのヒントを後輩たちに送って下さり、その優しい言葉は生徒たちの心に染み入っていました。

松山北高校を今に繋いでくださった先輩方に感謝し、私たちもよき伝統を引き継いでいきます。

  天童荒太さんと松山北高校

 今年度、天童荒太さんから松山北高の生徒に本当に素敵なメッセージをいただきました。新型コロナウイルスの影響で、様々な制約が生まれ、辛い思いをした人も多かったと思いますが、このメッセージで自分の生き方を見直して、気持ちが楽になったり、前に向かって進んでいこうと思ったりできたのではないでしょうか。

 そこで、天童さんと松山北高校の最近のつながりを振り返ってみたいと思います。


〇直木賞受賞のお祝い(平成21年2月)

 平成21年1月15日、北高30回卒の天童荒太さんが『悼む人』で第140回直木賞を受賞しました。受賞後初めての帰郷となった2月16日、母校を訪問された天童さんを在校生が正門前で拍手をして出迎えました。

 

〇松山北高校に色紙(令和元年10月)

 古里道後の遍路宿を舞台にした『巡礼の家』を刊行した天童さんは、子規記念博物館でトークイベントを開催。松山北高校創立120周年にあたって、天童荒太さんに講演を依頼したいと考えていたことと、ただお話を聞きたかったということもあって、図書課長が朝から並んで整理券をもらい、松山北高あてにサイン色紙を書いていただきました。小説『巡礼の家』について、「帰る場所は、小さい頃から人間にとって一番大事なもの。温かく迎えてくれる場所があることが何よりも幸せなのではないか。そこに行けば温かい人がいる、笑顔があるというだけで、人は生きていけるのではないかというのが基本のテーマです」と話され、「永遠の古里としての巡礼の家を書きたいと自分の気持ちから自然と出てきた」と言われていました。

〇記念式典での講演決定(令和2年春)

  正式に講演をお願いして、快諾していただきました。

 

〇記念式典の延期が決定・生徒へのメッセージの依頼(令和2年7月)

 新型コロナウイルスのため、記念式典の延期を余儀なくされました。3年生にとっては、直接お話を伺う貴重な機会が失われてしまうことになり、非常に残念でした。そこで、在校生、特に3年生に向けて何かお言葉をいただけないかというお願いをしました。

〇天童さんからのメッセージ配付(令和2年8月1日)

  天童さんからメッセージをいただき、事前に図書委員が全校生徒分のメッセージを綴じて、当日の朝クラスで配付。朝読書の時間に、長井校長が全校放送で天童さんの紹介をして、全員でメッセージを読みました。(校長のメッセージは、スクロールした次のフレームにあります。)感想は、天童さんにお送りしました。

 感想の一部を紹介します。


 何をするにも「自分が生きていないといけない」という当たり前のことを日々の生活の中で意識できていなかったと思いました。毎日忙しくて、その日を過ごすのがやっとな時もあるけど、私たちが喜びや幸せを感じることができるのは、生きているからこそなんだと思い、改めて感謝するべきだと思いました。まず、自分をもっと大切にしようと思いました。しっかりと睡眠をとり、常に一番力を出せる状態でいたいです。そして、いつも笑顔を忘れないようにしようと思いました。私は二つ目のメッセージが特に印象に残りました。周りの様子をうかがって辛くても辛抱したり、少しの違和感なら我慢してしまう人が今の日本には多い気がします。私は看護師を目指していますが、患者さんのそういう細かいところまで気を遣えるようになりたいと思いました。また、自分や家族も「ルック アット ミー」と言えるようにしようと思いました。今の一瞬一瞬が、かけがえのない大切な時間だと心から感じることができました。素敵なお話を本当にありがとうございます。

(3年)


 コロナウイルスの影響で、様々なことが延期・中止になり、不安や不満・哀しみがまだ残っているけれど、今回のメッセージを読んで励まされたし、今後生きていく上でのアドバイスにもなったので良かったです。こんなに長い文を私たちのために作成してくださって、とてもうれしいです。この中で私が最も印象に残った言葉は、最後の方に書かれてある「いまいる友達との日々を、幸せの時間として大事にし続けてください」という所です。当たり前の日々がとても幸せなことなので、常に自分の周りに感謝して過ごしていきたいと思います。学校が休校になってしまった時、友達に会えない悲しさや、部活動ができない悔しさ、受験生で特に勉強が大事なのに、学校で学べない不安などがありましたが、改めていろいろ考えることができました。今後もまた前回のような状況になりかねないので、今しかできないことを精いっぱい楽しんで、充実した生活を送っていきたいと思います。また、「ルック アット ミー」という言葉を頭に入れておいて、我慢し過ぎず相談できる人に話して、困っているような人がいないかなど、小さな変化にも気付ける人になりたいと思いました。

(3年)


 まず、読み終えての感想は「すっきりした」でした。友人や家族はもちろん、顔も知らないような有名人やSNSの意見で、ぐちゃぐちゃになっていた私の悩みが、すとんと落ちた気がしました。それと同時になんだか胸がいっぱいになり、涙腺も緩んでしまいました。私は自分を表現することが苦手です。対面でのコミュニケーションをはじめ、文や絵のやり取りなど、表現力の未熟さを感じる場面は少なくありません。それと同時に、自分を理解するのも苦手です。上記の「胸がいっぱいになった」理由も、どうしてなのか正直なところ分かりません。不明瞭な点が多い私の感情ですが、このメッセージを読んで、それを伝えてもいいんだと思いました。すごく読みやすいメッセージだね、と母と話しました。背中を押してもらえた気がします。

ありがとうございました。 

(2年)


 素晴らしい文章で、とっても心に響きました。私も最近コロナウイルスの流行や、大雨による災害によって多くの人の命が失われていることに、とても恐怖を感じていました。また、有名な芸能人の死にはとても衝撃を受けました。そのニュースが流れるたびに、悩み相談の電話番号のテロップが出されるのを見て、なんでも人に打ち明けることは大切だと思いました。何があってもどんなにつらいことがあっても、自分から命を絶つことだけはしてはいけないと思います。天童さんの文章を見て、生きていないと意味がない、生きていないと何もできないということに改めて気づかされました。また、気遣いができる人が必ずどの場面でもよいわけではないということを知りました。「ルック アット ミー」で自分の意見を言うことも、生きていく上で大切だなと思いました。私は高校生になって、「この場面で、私はこの言葉を発していいのか」、「この言葉は必要なのか」と考えられるようになりました。しかし、自分の中で嫌なこともため込んで、ずっと考えてしまうことも多くなりました。自分の意見や悩みが言える友達や先生、家族がいることを幸せに思い、まずは生きて、私の限界まで生きて、今の時間を1分1秒大切に楽しく生きていきたいです。

(2年)


 私は天童荒太さんが北高の卒業生ということを初めて知りました。このような素晴らしい方と同じ高校に通えることに、とても感激しました。「夢を叶えるためには、そのために一生懸命頑張ればいい」といろんな人に言われてきました。ですが、天童さんの「『運』というものが大きな役割を果たす」という言葉を読んで、確かにそうだなと感じました。努力をすれば叶うこともたくさんあると思うけれど、ほとんどのことは、『運』で決まるのではないかと思います。

 なので「ルック アット ミー」の気持ちをしっかり持ち、自分をちゃんと主張し、自分の力で幸せをつかみ取って、長く生き延びていきたいなと感じました。そして将来、私も自分の仕事を一生懸命果たした後に、誰かから「ありがとう」と心から言ってもらえるような人になりたいです。

(1年)


 私は、天童さんのメッセージを読んで、長く生き延びるということについて深く考えさせられました。長生きしたくてもでもできない人は、世の中にたくさんいるし、今を生きられていることを幸せなことだと思って生きていくことが大切だと感じました。いろんな経験を積んだことで、理解できた幸せがあるという言葉にとても重みを感じました。それは、天童さんが小説を書いていく際に、様々な経験をなさったからだと思いました。私はまだ高校生だから経験したことないことがたくさんあります。しかし、言い換えれば、これからたくさんの経験を積むことができます。また、天童さんの言われたように、今ある幸せに気づいていないのかもしれない。無駄なことをするのも経験であり、幸せだと思いました。そして、これからも幸せを求め、感じ、長く生き延びていきたいと感じました。 

(1年)


 生徒のみなさんの感想を読まれた天童さんからのメッセージ

   天童さんに、生徒の皆さんの感想をお送りしたところ、また、メッセージをいただきましたのでご紹介します。


 松山北高の生徒のみなさん、こんにちは。

 今回は、私のメッセージに対して、感想を書いてくださり、ありがとうございました。

 先生方が送ってくださった感想を、一つ一つ丁寧に拝読しました。

 みなさんは、それぞれ自分のこれまでの人生や、家族や友だちとの日々を、真摯に振り返った上で、私のメッセージをどう受け取ったか、どう今後に生かそうと思ったかを、誠実な文章でつづっておられました。どれも心に響く感想ばかりです。

 こんなふうに、みなさんが自分の言葉で、自分の感じ方や考え方を書いてくださるとは思っていなかったので、驚くとともに、深く感動しています。

 私が高校生だったのは、もう四十年以上前です。つまりみなさんとも、それだけの年齢差があります。

 本当にいまのあなた方の悩みやつらさや痛みを理解できているだろうか……本当にいまを生きるあなた方の心に届く言葉を贈ることができるだろうか……少しも自信はありませんでした。

 なので私は、四十数年前の……いっぱい悩んで、いっぱい不安で、いっぱい笑って、いっぱい失敗して、いっぱい後悔して、でもいっぱい夢を持っていた、そんな高校生だった私に対して、こんなことを伝えてくれる大人が一人でもいたらよかった……そうしたら、あとの人生、もうちょっと違った風に、もうちょっと楽な感じで、もうちょっと有意義に、過ごせたかもしれない……ということを、イメージしながら、メッセージを書きました。

 舞台裏を明かすのは、プロらしくないのですが、あのメッセージは、十日くらいかけて構想したあと、やはり十日ほどかけて執筆して、さらに一週間のあいだ毎日推敲を重ねて仕上げたものです。ときには高校生の自分になって読み返し、教師の方々や高校生の親になったつもりで修整し、PTAやOBの方々になったつもりでチェックして、みなさんが社会人になり人の親になったときのことも想像して加筆をし、また高校生になったつもりで読み返す……という繰り返しでした。

 それは、ふだん私が仕事に向かうときより、さらに慎重で繊細な姿勢でした。小説の場合のように、編集者や校正者のアドバイスを受けることができないから……ということもあるのですが、なにより、みなさんとのつながりが、これっきりになるかもしれなかったからです。三年生へ言葉を贈ることができるのは、これが最後の機会かもしれません。ですから、その機会を、私は無駄にしたくなかったし、読まれるあなた方の時間を、無駄なものにしたくありませんでした。

 今回の、みなさんの感想で、多くの方が、最後に私に向けて、感謝の言葉を寄せてくださっています。

 メッセージにも書いた通り、一生懸命仕事を果たしたあとに、「ありがとう」の言葉をいただけて……私はいま幸せを感じています。

 だから同じ言葉をお返しします。

 みなさん、本当にありがとうございました。あなた方との出会いは、私にとって貴重な宝物となりました。

                  天童荒太


 来年度、天童さんは創立120周年記念講演会に来てくださることになっています

お話を伺えるのが楽しみです。

令和2年8月1日

天童荒太さんからのメッセージ(←クリックするとPDF文書が開きます) について

 

                             校長 長井 俊朗 

 みなさんは天童荒太さんの作品を読んだことがありますか。天童さんは、松山北高校第30回の卒業で、みなさんの大先輩です。平成20年には『悼む人』で直木賞を受賞され、ほかにも『家族狩り』『永遠の仔』『包帯クラブ』など多くの作品を書かれていて、日本を代表する作家のお一人です。

 

 昨年刊行された『巡礼の家』は、道後の温泉宿を舞台にした作品で、遍路道で行き倒れた少女が温泉宿で再生してゆく物語です。少女にとって帰る場所、あたたかく迎えてくれる場所として、道後が描かれていて、幸せな気持ちになれます。天童さんは、昨年松山市の魅力を全国に発信するための「いい、加減。まつやま」応援団特別団員に任命されました。帰る場所としての松山を、作品を通じて魅力的に伝えていらっしゃるような気がして、天童さんの地元松山への愛情を感じることができます。

 

 そんな天童さんに、是非にとお願いして、今年度の創立120周年記念講演に来ていただく予定でした。しかし、残念ながら新型コロナウイルス感染症の流行により、記念行事そのものが来年に延期となってしまいました。そこで、在校生、特に卒業する3年生のみなさんへメッセージをいただけないかとお願いしたところ、快諾していただき、今回の講演で皆さんに伝えたかったことを文章にしてくださいました。天童さん、本当にありがとうございました。

 

 後輩の皆さんへの深い想いが込められたメッセージを、じっくりと読んでみてください。そして、友人やご家族の方と一緒に、いろいろ話し合ってみてください。天童さんのメッセージが、みなさんが今回のコロナ禍を乗り越え、幸せな人生を送る力となることを願っています。