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進路が決められない人へ③-高校時代にすべき進路研究-3月26日号

 今年の世界フィギュアスケート選手権は新型コロナウィルスの影響のため中止、もしくは延期となってしまいました。今年3連覇がかかっていたアメリカのネイサン・チェン選手は、大会中止を残念としながらも、他の多くのアスリート同様、「人の命にはかえられない」旨の発言をしています。彼は現在東海岸の名門イェール大学で医者になるために勉強をしながらスケートの練習拠点である西海岸と行き来する日々を送っており、日本の言葉でいうと究極の「文武両道」を実践しているアスリートなのです。アメリカの大学は日本とは違って入学するより卒業する方が何倍も難しいと言われています。難関といわれる大学ほど正規の4年間で卒業できる学生の割合は低く、有名なハーバードやイェールになると学生の約半数が6年をかけても4年制大学を卒業できません。

 前置きが長くなってしまいましたが、上記のネイサンが大学入学時に次のような抱負を語っていました。「僕はスケートだけの人生を送るつもりはない。選手を引退後も没頭できる仕事を大学で探したいんだ。今は物理学や医学、コンピュータ工学なんかに興味があるんだ。」この発言を読んで、「ん?」「どういうこと?」と思った人はなかなか鋭いですよ。そうです、アメリカの大学では、○○大学○○学部○○学科に入学するのではなく、単に○○大学に入学し、入学後に自分のやりたいこと、興味があることを模索しながら単位を取っていき、卒業時に○○学部○○学科卒と確定するのです。いわゆる「リベラルアーツ」方式とでもいうべき大学が多いのです。日本の大学とは全然違いますね。日本の大学は入学は難しいけれど卒業は・・・という傾向があるのかもしれません。ここまで読んでいくと、現在進路が決められない人にとってはアメリカ方式を羨ましく思うかもしれませんが、アメリカの大学は入ってからが大変なのです。私たち日本人には語学の問題もありますし。

 でも皆さんのような日本の高校生もアメリカの高校生も同じです。高校時代にある程度明確に進路を決めている人もいれば、そうでない人もいるのが当たり前。両者ともこれからどんどん変わっていきますし、高校時代に進路を決めて大学に入ってきてもその後進路が変わることは本当によくあることなのです。ですから進路決定は大学に入ってからでもけっして遅くはないのです。今教員をしている私も高校生の時には、将来教員になる選択肢は全くありませんでした。現在のようにインターネットやSNSもない時代でした。大学卒業後数年間は金融関係の会社に勤務し、アメリカでふらふらした後教員になりました。後悔はありませんが、今考えると随分廻り道をしたような気がします。

 では高校生である皆さんは今何をすればいいのでしょうか? 焦らなくてもいいからといって何も考えないというのは当然バツです。進路を決めている人も、そうでない人も北斗学の時間(総合的な探究の時間)やHR活動の時間などを使って徹底的に進路研究に勤しみ、意識すべき、と私は思います。私の高校時代とは比較にならないほどの情報があふれており、様々なツールを用いて短時間に必要な情報が得られるのですから。また自分の興味のある分野だけ調べるのではなく、それに関連すると見られる分野、一見自分にとって興味のない分野など幅広く研究することによって自らの可能性を広げ、自らの進路に真っ正面から向き合うことができるのです。そして「悩む」こと。研究して悩む、研究して悩むを繰り返すことで進路への意識が高まるだけでなく、たとえ進路を決めきれなくとも高校生としての、人間としての経験値が向上し、精神的に大きく成長できると思います。進路研究は自分を信じて自分に期待する第一歩です。

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